だけどね、やがてボクも自分を偽って人の世界に降りる日が来て。…そして知ったんだ。多種多様な人間の営みを。…人ならざるものたちの存在を。その時だよ。自分が酷く矮小に思えてね。こんなに世界は広かったのに、ボクの知っている世界といえば白一色だ。同僚も、感情に乏しくて、人の容姿や心に気なんて払いやしない。地上に降りたボクは、気付いたら元の住処に還りたいとは思えなくなっていた。