「分かった。…気をつけて。」[彼の父は守り抜かねば。だから任せろ、と。視線にそう篭めた意思は、走り出てゆく彼へ伝わったか。案ずる言葉は余計だったのかも知れない。けれどそう言葉を掛けられずいる彼の父の代わりに、そう口にださずにはいられなかった。トライブクラフト伯爵家は穏健派であると同時、家族仲良いことでもベルンシュタイン侯爵家とは似通っている。だから、伯爵家三男坊の無事を願わずにはいられなかった。そうして息を潜めて、”時”を待つ]