[此方の身分を明かしたら、どうやら緊張が解けた様>>71。
自分と兄と同じだと言う青年もまた、同じ狢か、と察する。
が、見覚えの無い彼はかつての部下や同僚とは思えず、此方が所属していた中央総司令部とは違う部署に居たのだろうか、と思考を巡らす。]
いや、うちは幻を使こうて魅せる魔法しか使えへんどすし、数ぎょうさんの芸はえらいしんどい……。
うちは旅芸人ん仲間と一緒にサーカスを開いて、出番を貰ってお仕事しいやますよ。
[描いた幻は幾つかの蝶へと姿を変えて、ヒラリヒラリと宙を舞いながら、人の輪に馴染めずにいる別の若いねーさん>>61へと飛んでいく。
若いねーさんの髪の色に合わせた小さな蝶は、輪の中へ誘おうと彼女の前をひらひらと。]