いや、私だってそんなにいつまでも軟じゃないよ。
[彼女と出会った十代の頃、ウェルシュは未だ弱々しい少年だった。
少し熱心に剣を握って訓練をしたといっては熱を出し、季節が変わったといっては風邪をひく。最近では流石にそんなこともなくなったけど、人の印象というのは中々に変わらないものなのだろう。]
だから…、ね?
[しい。と、口の前に人差し指を立ててみせる。
なるべく他の人には、出来れば老ロロンドにも内緒にしておいて欲しいと願いを込めて笑みを浮かべてみたが、さてどうか。ともあれ、もしも彼を見つけたのが隠居した彼女の養父であったなら、更に容赦ない雷が頭の上に落ちたには違いない。
ウェルシュの視線は、そのままちらと辺りへも流れた。
すぐに他の誰かが見えることはないけれど、この調子では散歩の時間もじきに終わりだ。**]