[敬礼と共にまっすぐな視線が向けられた。>>71
下官から先に挨拶があるのは当たり前に慣れているはずなのに
なぜだか熱いものが胸に込み上げてくる。
数秒……数十秒だろうか。
反応のないドロシーの様子にサシャは何を感じただろう。
僅かにでも戸惑いや訝る気配があればそこで我に返った。]
……失礼。ドロシー=ディレイ中尉です。
先程の船で来ていたの、声が中にも聞こえていたわ。
[気を抜くと涙腺が緩みそうになるのを堪えて敬礼を返した。]
私は水上列車で来たから船の様子を知らないの。
よかったらどんな感じだったか聞かせてくれない?
[緊張に固まるような感じがなければ歓談に誘う。
本当は、話しかけられて嬉しくて。
少しでも話をしていたいなんて思うのはなぜなのだろう。]