[見送るでなく、島へと視線を向ける。すれ違いざまに手に触れる感触>>66。繊細な指先が二本の指に絡むと、軽く握り返して正面をみるまま嬉しげに目を細めた。する、と離れるのを名残惜しげに空の手を握る。振り返り、立ち去る後ろ背を静かに見詰めた。] ――…翻弄されているのは此方の方か。[ぽつと呟くそれは波の音にかき消される。気を取り直すかのように、ゆる、と首を振り、男は荷を持ち、島へとおり立つ。*]