[──それから。行き場のない自分は、あの時見つけてくれた人に引き取られた。最初はどうすればいいのかわからなかったけど、少しずつ、新しい場所にも慣れて。環境的な影響も少なからずあって、進むべき道は一つしか見つからなかった] 士官学校、行かせてください。 俺……やりたい事があるんです。[ぐ、と。握り締める手の中にあるのは、翼を象った小さな細工。拾われた時、唯一持っていたそれが、空に焦がれる飛行技師だった養父の形見──というのは、覚えていないけれど]