― 死者が集う昏き海の中で ―
[真に欲した物は眼前の彼女が予想したものとはきっと違うだろう>>6:+15。
どちらにしても“手に入れられない腹いせ”を起こしたのは紛れも無い事実、真実。
民の事を考えずに、彼らの命を暮らしを壊し破滅に導こうをしたのだから、金髪の女軍人だけでなく他の者も怒りや憎しみ、非難の言葉を向けられるのは然るべき話。]
――実際そう“思った”。
俺は、そういう男だった、という事に変わりは無い。
[翠を細め、一度瞼を閉じてから薄く瞼を開く。
どんな理由であれ、破滅に導こうとしたのは確か、それを偽ろうとはせず、眼前の女性に“事実”を叩き付ける。
そんな彼女の促しに従い、ゾネス要塞の、白狼館の惨状を翠の瞳を向けていた>>6:+0>>6:+2。
嘗て職務の合間を縫って訪れていた数少ない安らぎの地。
それは幻想だった、と言わんばかりの破壊、陵辱、蹂躙。
目を背けたくなる惨状に翠は一度たりとも離したりはせず、魂に焼き付ける様に密かに拳を震わせ事の成り行きを見守っていた。]