― 個人執務室 ―─────…。[やることがあるから、立っていられる。皮肉なものだ。親友《トール》を亡くし、好きな女《フレデリカ》も死んだ。悲嘆にくれるのは容易いが、今そんな暇は多くは許されていない。────高貴なるものの義務《ノブレス・オブリージュ》とは…?いや。多分、そんな大げさなものではないのだ。ただそれよりも、何かのために。誰かのために。家族のために。死んだ友のため──そして傍らの友のために。今ある、かつてあった彼らの想いを無にしないために]