……騒いだって、傷は塞がらないだろう。 まったく……。 ほら、ちょっとそこ、どけ。[呆れを隠さぬ口調で言いながら、負傷者の横を強引に開けさせて膝を突く。何事か、と周囲がざわめくのは完全に無視して。その場にあった、治療道具の一つらしい小さなナイフで自分の指先を傷つけ、滲んだ紅を負傷者の胸元に押し当てた]