[語られる言葉に、目を見開く。
唐突な告白に思考が追い付かず、語られる言葉を、ただ、耳が追う。
けれどもやがて、“私の、脳がおかしくなっているのでしょうか?”>>58 の一言に、青年の表情は、険しい警戒を帯びた。
思い出されたのは、マリエッタの姿。
そして、先程メイン・サロンで見たサシャの狂乱。
医務室の面々を庇える位置へ、ゆっくりと動く。
出来る限り、相手を刺激しない動きで。
けれども同時に、ふと、頭の片隅に疑問が過る。
―― こいつは“人狼”なのか?
マリエッタの身体にも、医務室の床にも、血の跡はなく。
それは彼が知る“人狼”が人を襲う際の行動とはかけ離れているようにも思えた。
いや、無自覚な人狼という可能性は、その言動からして大いにあるが……
―― どちら、だ?]*