[短剣の切っ先は、正確に心臓を指していた。顔を歪め、奥歯を食いしばりながら奥へ押し込む。刃が硬いものに当たる音。骨ではない。もっと奥だ。] 御身を慕い求め受け入れしものが 親愛と敬意を以て御身に刃を奉る。[切っ先をねじるように動かしながら、口の中で小さく言葉を紡ぐ。呪文ではない。誰かに語り掛けるようなそれ。身体の奥で何かが欠けるような音が響く。抉るように抜いた短剣の先には、燃える石炭の欠片のようなものが載っていた。]