― 回想:15年前>>2:317 ―
[コリドラス将軍がクリーク砦の守りにつく、と。
その出立の時、男が彼を見送りにいったのは気紛れではない。
話を聞き、出立前にその顔を見たく思った。
相変わらず飄々と笑う顔に、ほっと肩の力が抜けたことを覚えてる。]
なに、私も少し外の空気が恋しくなりましてな。
[軽く笑って見せた理由は、目前の男と同じだろう。
ラモーラルでは連日、ウェストマールからの臣従要請に対し如何にすべきか、その議論が延々と続けられている。
とはいえ、それも煮詰まってきているようだった。
臣従を良しとしない領主派と、受け入れるべきと主張する宰相派と。
近頃の王宮は二派に分かれて険悪さを増してきているかのように思える。]