[普段ならば足元より生まれるはずの魔手も、今は鳴りを潜めて気配すら滲ませず。変わりに借りる妻の御手。>>64] ――…もう、駄目かもしれません。 [笑う唇で嘯いても説得力など皆無だろうが、それでも妻は微笑んでくれた。送られる労いは、心を弛緩させていく。>>65これほどの温もりを己は知らない。]