─ 戦舞台・戦闘領域の外 ─
[不意に、傍の青年の気配に僅かな変化。
ちらりと目だけで盗み見ると、変化の乏しい口元に刷いたのは、確かに笑み。>>60
その表情に、眼差しに。
自然、男の笑みが深くなる。ああ、これだから堪らない。]
ンン?
ああ、ルートは来た時に会ってるのか。
…そうだな。どういう術かは分からんが。とうやら
[青年が口にした異変に>>61同意で答え、眉間に皺を刻む。
ああいうのは、あんまり好きじゃねえなァ。詰まらなそうな呟きを聞いてか聞かずか。己は幸いであったと、同じようにその薄い唇が漏らした音>>62に、隣の獣は少し眉を上げ。
それから、大きな手が彼の顎を掬い上げた。近付けた顔は、鼻先が、吐息が触れ合う程の距離。買い被りさ。低い声が囁く。]