― 聖神神殿 ―
[出立の身支度を整えに部屋に向かう途中、
バルタザールの背に声を投げる。]
ばるたくん。これから出立準備だよね?
根の領域の先遣隊が君なら、正直安心かな。
神殿側やこっちの護衛をお願い出来ないのは不安だけど、
いつまでも同僚に負担かけるわけにいかないからね。
そういえば……
ちあちゃんは身の振り方、決まったんだろうか。
非常に潜在能力の高い子だと思うんだけどな、あの子。
[身体能力もさることながら、感知能力も並外れていること、
かの見習いの少女を見かけて思い出したのだった。
迷っている様子なら、今回の任務に同行して貰うのはどうか、などと
深い考えなしの気楽な提言、彼はどのように捉えたことか。
ともあれ――各々の任に就く段になれば、健闘を祈りつつ見送ることになろうか。*]