― 回想 ―[学び舎に通い始めた娘――キアラは、水を得た魚のように毎日熱心に勉学に励んだ。学友にも恵まれたのだろう、食事のたび楽しそうに日々の出来事を報告してくる。そのうち徐々に…頻繁に、二つの名前が登場するようになった。 シェットラント・シンクレア。 ベリアン・サルーク。どちらも将来有望な優秀な若者のようで、キアラの口からは幾度も「ほんとに凄いんだよ!」と目を輝かせて賞賛を編んだ言葉を聞いた。…、だが。いつから其の比重は緩やかに偏りを見せてゆく]