人狼物語−薔薇の下国

168 グラムワーグ・サーガ


吟遊詩人 ソマリ

― とある終わった話 ―

[
 恋多いものがまた恋を失った。
 割といつものことである。だが、この失恋はアランにとっても特別であった。
  
 ――恋や駆け引き、そういうものではなく。
 大事なものを守る為の自らの判断が、彼女の守りたいものと二律相反となった時。
 二人は終わったのだ。

 今も耳に残る、彼女の感情に震えた声。
 目当てだったのは、私ではなく…… と、続く言葉。彼女に一言も言い返せなかった自分。

 彼女は騎士団には残らず自らのペンホールズを出たが、ただ朝もやかかる鐘楼から見送るだけに留まった。

 そう、それは原石と出会う前の出来事である]

(71) 2014/03/27(Thu) 12:34:50

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