君に頼まれなくても、私は生きるさ。
……知っているかい?
王はなくとも民はあり、王がなくとも国はある。
逆に民がなくば王はなく、…国なくしても王はない。
生きるよ。……生きて、ある限りは。
[誰かにとっての利用価値がある限りは。音にしない響きは、伝わっても伝わらなくてもどうでも良かった。
南の国の王は、無意味に人の命を奪わぬという>>53
ならばラメール最後の王族であるウェルシュは、傀儡か幽閉か人質か、いずれ明るい未来ではないにせよ、暫し生かされてはおくだろう。
ウェルシュの頬に苦い笑みが上った。それを自覚することなく、言葉を続ける。]