― 森へと退却中 ―
いろんな神様の加護があったってとこか。
[どうやら、今回も自分たち傭兵には運があったようだ。勝利したとはいえないが、それでもぎりぎりなところで負けさせない運。
それが自分たちの行動が引き寄せた加護として上等なものなのか意地悪なものなのかと考えたところで、ふっと、盾の内側に嵌められたレイピアを見つめる。
あそこで踏み込んで、氷竜軍の中でも比重を置かれていたように見える敵精霊術師を仮に殺していたら、おそらく素直に逃がしてくれなかっただろうと思えば、あの時落下して、自身の足を止めさせたレイピアは結果自分たちを破滅に導くのを止める楔となった。]