[思わず口に出した途端、「ぶふっ!」と耐え切れぬように噴き出した側近の頭を、男は反射的に平手ではたいた]「い、いいじゃありませんか、息子が出来たみたいで」[憮然とした主に対して、笑いながら言う側近の視線と口調は、どこか柔らかい。男が、ただの客人として、カナンやシメオンを保護していたのではない事を、長く傍につく側近は気付いていたのだろう]あいつ《ジョーイ》の耳に届いたら、何を言われるか判らんな…[苦笑しつつ、シュビトに在る友の事を思い、同時に、彼の息子を想った]解放軍はどこまで来た?[その情報も、街道に散った私兵達から届いている]