[呆然としている内に、カレルもまたソマリの姿を追って走り出す。>>65]
カレル!待て!!
[はっとして呼び止めるが、多分彼の耳には届かなかっただろう。
今の彼は、昔、自分の後ろを離れるまいとくっついて来た時や、昨夜孤独を恐れて泣いた時の彼に、よく似ている。]
何だってんだ、一体……。
[普段なら、放っておく。
ソマリとて普段浮わついた面があるものの、それなりの分別はあるし、カレルとて自分の身を守れないほど弱くはない。
けれど、今のソマリは常と違い、あまりに……何と言えばいいだろう。妖艶で、そして危険な匂いがする。
それに、カレルの心の奥に閉じ込められた、親を求めて泣く幼子のような叫びもまた、薄々と感づいていた。普段はそれを隠しているが、今それを何の仮面も被せず外に出すあの子供の不安定さが心配だ。]
……何処に行った?
[考え込む内に二人の姿は視界から消えた。焦燥だけが募る。]