― 次の羊は>>65 ―
[書庫で午後を過ごしているとフィオンが入ってきた。
まっすぐこちらへ向かってくるから用は自分にあるのだろう。
どこかでここにいる事を聞いてきたのだろうか。]
それは、今ここではいけないの?
[時間を作ってほしいと言う。
部屋の外にいるであろう監視役に声は聞こえないはずだ。
首を横に振られれば、少し考えて小声で伝える。]
……ここで。
[時刻の指定がなければ日付が変わる頃の密会となる。
フィオンの耳にもあの噂は届いているだろうに
夜に会おうというのはドロシーが潔白と思っているからか。
それなら人気のない今でもいいはずで。
「夜」に「人目のないところ」でなければいけない理由。
思いついてしまうのは、
ドロシー自身がその条件が揃う時の行動を分かっているから。
見返したドロシーの目に映るフィオンは
どんな意志を持った顔をしていただろうか。]