― 銀色の記憶 ―
[歌うよと、返ってきた言葉が嬉しくて。
半分、伸ばされかけた形の手>>60を取ると、にこりと笑んで。
…そして、私は顔を上げることが出来たでしょう。
誰かと歌う。それは好きでも滅多に叶うことのないことでした。
両親ともども忙しく、お祖父様は仕事で忙しい。
歌うときは一人であることが殆どでした。]
ありがとう!それじゃあね…?
[夢のように柔らかな時間の終わりまで。
いつか教えてもらった歌を>>49、ずっと歌いました。
決して長くはなく、易しいメロディのその歌を。
時には少年の声に続けるように、時には促して。
仲良くなれるといいなぁ…
そう願った心は言葉にはしないまま。]
[もう少しこの温かな時間が続きますようにと。
別れの時が訪れるまで、密やかに願って、いたのです。]