―ふとした昔話―
ボクの話をしようか。
これでもね、昔は聖なるかなーなんて
人間に祝福を授ける立場だったんだ。
それが、今みたいに空間と空間の
隙間に棲むようになったのは最近のことだ。
どれくらい最近かって?…そうだなあ、
少なくとも、君のおじいさんのおじいさんの
そのまたおじいさんが子供だった頃よりは前だったかな。
あれは、ボクが元の住処に居た頃さ。
ボクの住んでたところはとにかく縦社会でね。
一番上に位置する存在に逆らうことは許されなかったし、
逆らったら住処を出て行かなきゃいけなかった。
出て行った人はどうするかって?
暗ぁくて、快適とは遠い空間に一生涯幽閉されるのさ。
ボクの上司…ボクなんかは顔も見たことがない上司の命令でね。
だって、偉い人に逆らったんだ。仕方ないだろ?