―暁夜前 自室―
ん…。
[>>60 答えなんて、聞くまでもなく分かっていたけれど。
すぐ目の前にフェリクスの翡翠の瞳が静かに自分を映す。
…まだ、大丈夫。
何もかも忘れるための激しい熱で無くても届く。
そう見て取ると寄せられる唇に自分の唇を重ねてゆっくりと味わうようなキスをする。手はフェリクの軍服の前を開き、シャツのボタンを外していく。隙間から手を差し込んでフェリクスの肌に直接触れる。その温度は自分の手より温かく。きっと、冷たいと感じているだろう。掌を動かさずにそのままフェリクスから熱を分けて貰い、久々の唇を味わった。
…ワインの味がする。舌を絡めてその残り香を慈しむように味わう]