[シモンの他にもヨアヒムが泊まっているらしい。部屋の奥に青年の姿を見つけて遠目に挨拶だけした>>62。
宿屋を立ち去る間際、ペーターをちらりと横目で伺った。ペーターの頭を…が撫でた時、ぼんやりしていた様子だったのが気に掛かっていた。くしゃみをしていたので風邪を引いたのだろう。それにしては、何だか様子が変だったけれども。
此処にはヨアヒムが居る。それにシモンが、とペーターからシモンへとちらりと視線を移した。シモンが面倒見が良いことは良く知っている。実際に…は何度も世話になってきた。シモンも居るし大丈夫だろうと、シモンが視線に気が付く前に自分から逸らしてしまう。
助けて欲しいと声に出さなくとも無意識の内に甘えてしまっていた。…にその自覚はない。踵を返して雪の中へと。]
― →教会 ―