[──バグは。
アナウンスにあったバグは、──アデルとアイリを昏倒させた原因であろうそれは、感染性のものではないのか。
発生時一番近くに居たであろう、オズワルドの身は。
とっさに思い浮かんだ懸念に突き動かされるまま覗き込むも、茶色の虹彩は常と変わらない。
すぐ横に倒れた同僚たちが居るにも関わらず、自身のあんまりな関心の向き方に眉間の皺が深まった]
……………………何でも、ない……。
[指先の力が抜ける。強く拘束していたのは一瞬のみで、即座に腕はだらりと下りた。
首を振り、視線から表情を隠すように頬を背ける。
その間にも、駆けてきたテオドールが倒れた二人の脈拍と瞳孔を確認していた。
「緊急事マニュアルその1」という言葉に、再び頬が強張る]
隔離……廃棄……?