[それ以上は領主に注意を向けず、街の様子を眺めている。遙か遠くまでを見透かす目が、そのときひとつの馬車を見いだした。>>45] あれは白磁の淑女が乗る馬車ですね。 門を開けなさい。 盛大にお迎えしなくては。[公の意ひとつで、コウモリでできた城門が大きく開く。人間たちは通さないままに馬車を迎え入れれば、同じコウモリたちが公の姿をかたどって、中空で一礼してみせるだろう。*]