[かつてのように呼ぶ声>>46。
チャールズが槍を構えるのに合わせ、アルブレヒトも長剣を握り直した。
刀身の根元には緑風信子石があしらわれている。
辺境伯となった折に特別に仕立てた、願いを込めた剣。
その切先を右後方へと流し、駆け出すチャールズを見据えた]
「どけ」
[護らんと周囲を取り巻く兵を声だけで引かせ、突進してくるチャールズへと馬首を向ける]
[交差する視線。
それが一つの合図となった]
[馬の勢いを乗せて繰り出される槍の穂先を、長剣の腹で滑らせるようにして弾く。
槍の穂先を過ぎ擦れ違わんとする機会を狙い、斬り上げんとした長剣は甲高い音を奏で槍の柄を打ち据えていった]