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[男性たちから位置的にも姿が見えないだろう場所に足早に移動すると、パンパンパン、と両手で頬を叩き、眦に僅か浮かんだ涙を手荒く指先で拭った。きゅっと口元を引き締め、表情だけは平静を装う。]
[いつもこうだ。求心力が低い。コミュニケーションが下手だ。座学は優秀でも、士官の資質に欠ける、と。]
…しっかり、しないと。
[ここは学校でもなければ演習場でもないのだ。少し思い描いていた場所とは違うが、待ち望んでいた実践配置。ひとつ大きく息を吸い吐くと、元々の目的、承諾書の回収を行うべく、人探しを続けた。]