[同世代平均を上回って発育の良い肢体を、今日ばかりは私服に押し込め、肩を聳やかして人混みを掻き分ける。
足元だけは歳相応にローファーの踵を、カツンと音高くプラットフォームに打ちつけ、車内に退避する。
常より粗雑な所作、ひたすらに前方に凝らす眼差しにも、
くっきりと険を滲ませ]
18年も引き延ばせたなら、もう少し、何ていうか――……
タイミングってもんがあるでしょ……?
[――選りによって、非日常の空間を目前に控えて、というのは
時機として如何なものか。
ぼそりと苦情を向ける先は、努めて視界に入れないようにしている
傍らの『兄』ではなく。
漸く嘆息を聞かせずに済む距離へと離れた、二人の両親へと]