― Eルーム ―
[随分と長く眠っていたような、体が泥のように重く強張った感覚を得ながら、ゆたり、と意識が浮上する。
暫くぼんやりと天井を眺めていたか……。
どうして……"生きてるんだろう"
思考はその処理に酷く負荷がかかるようで、知っている筈の答えを中々導きだそうとしない。
50年前の資料のデータ。――あの内容はなんだった?
倫理問題で揉めに揉めた、例の極秘プログラム。>>34
当然、諦めると……。
そんな人権を無視したようなプログラム、諦めるもんだと……そう思っていたのに。
知らぬ間に、導入されたプログラム>>34
……いくつ"極秘"を作ったら、人間は満足するんだろうか。]
ねぇ、スノウちゃん。
"私達"どうしてこんなに残酷なんだろう……。
[ようやくたどり着いた結論。
チリンと鳴る鈴の音に、スノウちゃんの気配を感じ、起き上がる気力もなくそう告げた。
両手で目を覆い、長く、長く息を吐きだす。
血を吐くような苦しみも、ひりつくような悲しさも、はち切れそうな胸の痛みも。……全てなかったことに出来ると……本当に思っているのだろうか。
たとえそれが被害を出さない、最善の策だったと言えども。
私は、絶対認めない。]