>>51>>52 リエヴル
[「気になっていた」という言葉には、嬉しさとともにこそばゆくなって、さらに頬が赤みがかる。
結局想いを伝えないまま離れてしまったから、もしかしたら報われないかもしれないとさえ思っていたから、反動からかふわふわとした幸福感が、いつにも増して体中を満たしているように感じる]
ふふっ、忘れる訳ないのですよ。
貴方がずっと欲しがっていたものですから、ちゃんと渡したかったのです。
[ふっくらとした小豆と黒豆が、焼餅を包み込んでいたお椀の中。
今は空になろうとも、膨らんだ幸福感は胸の中で満たされて消えないままで。
あの日離れなかったら、自分の気持ちさえ気づかなかったかもしれないけれど。
――今はこうして、想いが通じ合えたことが嬉しくて、自然と笑みがころころと零れる]