[小型戦艦シュヴァルベの横を抜けたザイヴァルは、武装のほとんどを失いながらも速力は落さずに東を目指す。
残る牙は、前部主砲と右舷副砲のみだったが、それでも敢然と戦う意思を掲げて砲は前を向いていた。
負傷した扶翼官は露天の指揮塔に移り指揮を続けていた。
衛生兵が指揮塔にまで出向いて治療に当たる。
折れた右腕に添え木を当て、胸にも包帯を巻く。肋骨が何本か折れているだろうとの見立てであった。
判断力の低下は避けたかったし、それに今は不思議とあまり痛みを感じていなかった。
東に輝く太陽を追う。
求められた高揚が、全身を満たしている。]