誰とでも仲良くしようとするのは、コンラートくらいでしたから。
[抑えきれず、声音に微かに滲むのは、既に試練の場にいない青年への感傷だ。
玄関とグラウンドの堺で足を止め、何かを堪えるように唇を噛んだ]
コンラートの願いごとは、知っています。
でも、私がそうやすやすと明かしていい話でもありません。
[紡ぐのは、イェンスの質問を突っぱねるような言葉。
少しだけ沈黙を挟んで、彼を振り返り、肩を竦める]
考えてもみて下さい、「倒される前に自分でジェムを毟り取る」ような子ですよ。
話したければ本人が話すでしょうし、嫌なら断るでしょう。
……後で本人に聞いて下さい。
[私は恨まれるのはごめんです、と言外に。
それっきり、お喋りは終わりですとばかりに再び前を向いて、グラウンドへ踏み出した]