─ 要塞への任務 ─
[ それは、偶然だった。
その日の任務は警備でも街の鎮圧でもなく
上官から呼び出されたのは そう
「ゾネス要塞へ文書を届けること」。
といっても
国レベルの重要文書を届けるような
そんな大それた役割を任されるわけもない
王国軍の兵士と白狼騎士団の兵士の調整、
といったような簡単な内容の文書である。
但し、それでも総督、現在は総督代理に
直接届けるべき正式な文書であったため、
ゾネス要塞へ出向くのは女性が適任。
そこで今回はあたしが選ばれたというわけ。
チャンスだと、思った。
否、その時は決して。
復讐しようだとか、問い詰めようだとか
そんな物騒なことは考えては居なかった。
けど。彼女と、ゆっくり話がしたかったから。]