人狼物語−薔薇の下国

469 グラムワーグ・サーガ3 〜反撃の嚆矢〜


銀月牙 アイリ

― モーザック砦・地下 ―

[移動した先はどうやら、負傷者や避難してきた民が多く集まっているようだった。
そこかしこで上がるのは、痛みに苦しむ声と、突然の出来事への不安の声。

そして、それらを宥め、励ます声。

声が多く入り混じっていてはっきりとはわからないが、希望を唱える者の多くは皇子、という言葉を口にしていた。

それが示すものは──彼が人の心の拠り所になっている、という事実は明確で]

 …………冗談みたいだな。
 もしかして、ほんとに変わってないのか?

[ぽつり、と呟きが落ちる。
記憶の霞は、完全に晴れたわけではないけれど。
見えなくなっていた部分──幼い頃の思い出は断片的に浮かんでいるから。
ああ、厄介だ面倒だ、という思いが声音に滲んでいた]

(69) 2017/02/05(Sun) 12:28:07

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