ゼファーの闘神を陥落《おと》せば、拠点など取るにたらぬというものだ。 「いずれ機会があれば」── 覚えているとも。[ 笑みを浮かべて手早く文を認める。 『波間の月をば奉らん』文を矢柄に結びつけると、船の速度を遅らせ、両者の距離が近くまで待ち、ひょうと放った。そしてまた、北を目指す。さて、かの船は岸を離れてくるだろうか。*]