― 精霊節前 ―
リートはね、偉そうだけど優しいんだよ。
[と、星司や、もしかしたらそこに同席していたかもしれない徹に、ウェルシュがにこにこと告げたのは、買い食いツアーの最中だったか。それも当のアイルリートには聞こえないように、こっそりと、だ。
聞こえたら全力で馬鹿者呼ばわりされるのが判り切っていたから]
世界を護る要だから、みんなを守るために誰よりも自信と自覚を持ち続けて、絶対に後に引かないんだって。
[時に我が侭独善協調性皆無、と言われながらも、不動不屈の壁たれと、自らを鍛え上げた年若いマガーネル家当主への、その評は、もともとはウェルシュの両親からの受け売りではあったけれど、ウェルシュ自身も彼を見ていて納得した事だった]