―翌朝・渓谷にて―[宿を出発したのは、鳥が鳴くより前の薄暗がりの中。朝露は少女の肌をしとどに濡らすが構うことなく、新たに購入した深緑のロングワンピース姿で渓谷の、黒き光の源を目指す。] ―…ウェルシュ、来るぞ…!![目的地まであと半分。この調子なら昼前には着くだろうと安堵した矢先のことだった。膨大な闇の魔力が地より湧き出て、周囲を覆う。厳しく鋭い声で後ろについてきている筈の従者へ注意を呼びかけた。]