── 回想・犠牲者発見時・第二閲覧室 ──
[第二閲覧室とは、今自分が立っている場所だ。
先程まで常通りの平和な時間が流れていたはず、バグ発生なんて異常は感じとることが出来なかった。
急ぎ周囲に目線を走らせれば、出かけていた図書館職員たちが息を切らせて次々に帰ってくる。
「何があった?」と飛び込んできたオクタヴィアスには、眉根を寄せて首を振り]
分から……ない、何も此処には異常なんて、
[言葉半ば。「アデル!」とよく知る男の荒い声が聞こえた。
振り返れば助けを求める声が。無言で急ぎ駆けつけると、オズワルドが抱えていたのはアデルにアイリ。
両者糸が切れた人形のようにぐたりと弛緩しており、倒れたことで乱れた髪の合間からは血の気のない肌が見えた]
……ッ、これ……。
[一歩一歩、床を踏みしめるのも覚束ない。ともすれば砕けそうになる膝を叱咤して、膝をついたオズワルドの横に立つ。
崩折れるようにしゃがんだ折、強かに膝を打ったけれど気にする余裕はなかった。
赤い上着の襟元を荒い手つきで引っ張り、睨むように目を合わせる]