[返したのは、いつもと変わらない言葉、ひとつ。それから、手にした太刀を天へ──陽に向けて、高く、差し上げる。直後、大気を震わせるのは、歌うような竜の咆哮。そこにあるのは、戦望む猛々しい響きではなく。『かえろう?』と呼びかけるかのような、やわらかな、おと。それが風に溶けて消えると、褐色は大きく羽ばたき、地へと翔ける]