私の記憶障害……全生活史健忘は、 痛みと苦しみを忘れるためだったのではないか、と。 23歳で爆弾テロに遭い、 意識を取り戻したら、動けない見えない口もきけないの寝たきり。 一縷の望みを賭けてサイボーグ化手術を受ければ、 何年もかかるリハビリと再手術の繰り返し。 すべてを忘れることで自分を守っているのではないか、と いうのが精神科医の分析でした。 ……たぶん、そうしなければ、 テロに遭う前の夢や希望に満ちた将来を、現状と比較してしまうから。