― 過去の出会い、そのひとつ ―[何時もより帰りが遅いと、 時計を見ながら義父の帰りを待っていたある日。 帰宅を知らせる扉鐘に出迎えてみれば、義父ともう一人、客人の姿があった。] 「初めまして。エドルファスと言います。 あっでも、今は、エドルファス・ハーウェン。 義父さんの「ハーウェン」を貰ったので」[生まれた頃から持つ名に、 州都に育った軍医の家名を貰い、名乗る名は。 未だ気恥ずかしそうに、けれどもどこか誇るように明瞭に響かせて、客人の男の茶の瞳を真っ直ぐに見上げた。]