[年齢は自分とそう変わらない。然し年齢以上に少女の瑞々しさを感じさせる振る舞いを見せる彼女は、身体の商売をしている部類の人間だった。
名前は確かリーディア。街ではそれなりの評判を得て、こうして礼服を着せる様な屋敷の人間が目をつける以上は、それ程の人気はその頃あったのだろう。
彼女が噂の、程度には名前を聞いて理解した]
『結局、以前のおっさん、女絡みで恨みを買い漁ってたんだと。
お前もそうならねえ様に気をつ……あ、いえ。何でもありませんはい』
[その後、街で姿を見かけた時、彼女に声を掛けられる様になったが。
それは押しは決して弱くない彼女の性格故か、相手の心を擽りつつも、辛辣にあげて落としもしちゃう処に振り回された故か。
彼女との相手はどうにも、此方の調子を狂わされていたのだ。
それはやがて数年後、何かの修羅場に巻き込まれたらしく、忽然と街から姿を消すまでの間の関係だったが。
年月が経過しても変わらないらしい、当時の軽快ながら艶やかさを感じさせる笑いを、後に再び見る事になろうとは、当時は考えなかった>>35]