よし、もう十分だから、
センセイ、あんたも避難艇の方に――…!
[振り返り、そういった、その時だった。
突如、叩きつけるような衝撃が、船体に走った。>>2]
――っ…!
[煽られるように、大きく傾く船体。
天井の照明が一瞬、バチリと瞬く。
考えるよりも早く、傍にいたであろうジークムントがどこかに体でも打ち付けることがないよう、がっと支えようとする。
(船体の故障!? いや――…)
全身の感覚が、違和を訴える。
今の衝撃は、そういったものではなかった。
船の揺れが収まったならば、センセイを避難艇へ連れてゆかなければ。
――もし、何かがこの場で、あるいは道すがら起こるようであれば、その対処をするだろうが、
揺れが収まったなら、まずは、そのように提案するだろう。]**