ちょっと息抜きでもしようか。
[…は脱衣所で一度顔を洗うと、目的もなく部屋を後にした。
船内の通路は必要最小限の標識しかなく、宿泊エリアはよく似た景色が続き、迷子になってしまいそうだ。
ー通路ー
ーーそれでもSFチックな雰囲気に心酔しながらフラフラ歩いていると、ある見通しの良い道で、会ったことはないが見聞きしたことはあるような男が、船員と話しているのが遠くに見えた。褐色の肌の金髪の男と、猫っ毛の小柄な船員だった(>>53、>>54)。]
……あの、もしかして、ロー・シェンさんですか?
[その男は、以前研究中にどこかで知った、同い年の考古学者にそっくりであった。男が人違いでなく、快く会話を受け入れてくれるなら、…は自己紹介をする。]
初めまして、俺はアデル。薬品の研究をしているんだ。以前古代植物について調べていた時に、君を聞いたことがあるんだ。……いや、特に用はないんだけど、同じ若手研究員として挨拶しようと思ってね。
[…は決してにこやかではないが、特に警戒心もなく話しかけた。男の反応を伺う。]