―Florence―
[思えば船に乗ってから、カサンドラの店に来たのは初めてだった。
店の様子はあまり変わっていないように思えた。
緊急事態で客も居ないが、ドロイドのジョニーは居るだろうか。
居れば「久しぶりだな」と声を掛ける。
男から見てもジョニーがいけめんなのは認めているが、
「俺の方がいけめんだろう」と見る度に口にしている間柄である。
店内の見慣れた小道具や花瓶、装飾品等を見て
何気ない日常を思い出し、少しは笑みも零れる。]
お待たせ、ここも久しぶりだな。
花はこんな状況でも、強く、綺麗に咲いてるんだな。
……強いな。綺麗なだけじゃなかったんだな。
[懐かしさと心が癒される花に、気分も少し軽くなったような気がした。
そのまま店内に入れてもらえただろうか。]