―エルナの部屋―
[隙を見計らって、談話室からエルナの部屋へ移動する。談話室から出るところ程度なら見られたところで特に問題ないために、そこまで気を使って出て来たわけではないのだけれども。]
[扉を開けて部屋へと足を踏み入れると、誰の文字とも分からない機械的な字体で書置きをしたためる。]
『ニコラスの行方を知りたくば、夜中、一人で広場まで。一人で来なければ、彼の行方が明るみに出ることはない。』
[如何にもな内容であるが、問題はないだろう。一人でという制約を無視してくるのであれば察知するのは容易い。
書き終えると、部屋に戻ったとき確実に気が付くようにと、扉を開けるときに手に触れるよう貼り付けておく。]
[一通りの作業を終えると、平然と談話室へと戻っていった。殆ど時間は取られなかったため、仮に気が付いたとしても、気に留めたものは殆どいなかっただろうか。]